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税理士 長嶋佳明
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2012.04.27
相続税の財産評価、なぜ売却した金額ではないのか?

昨年父が亡くなりました。
父の知人に税理士さんがいましたので、相続税の申告手続きはその方にお願いし、既に相続税の申告を済ませています。
相続財産の評価について教えてください。

相続財産の中に上場株式がありましたが、私は株のことはよくわからないので今年に入ってから株を売却をしました。
税理士さんが作成した相続税の申告書を見ると、私が売却した上場株の相続税評価額は、実際に売却した金額よりも高いことがわかりました。

上場株の相続税評価額が、実際に売却した金額よりも高いことがどうも納得できません。
税理士さんは父の知人のため、詳しいことを聞けずに困っています。

 

 

【税理士長嶋の回答】
相続財産は、相続があった日の時価で評価をすることになっています。
相続財産の評価は上場株を売却した金額ではしませんので、相続税評価額のほうが高くなることもあります。

 

 

【相続財産は相続があった日の時価で評価】
相続財産は、相続があった日の時価により評価をすることになっています。
相続税法22条において、次のように定められています。

(相続税法22条)
相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、その財産の取得の時における時価により、その財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

 

ここで「時価とは何か」ということについて、財産評価基本通達において次のように示されています。

(財産評価基本通達)
時価とは、相続により財産を取得した日において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。

 

上場株の場合、基本的には相続があった日の終値が相続税評価額となります。

 

 

【相続のあった日と売却した日の時価は異なる】
相続があった日から相続税の申告期限までの間に、例えば東日本大震災のような大きな天災があるとき。
相続があった日の終値と上場株を売却した日の終値との間には大きな開きがある可能性があります。
このようなときでも、相続があった日の終値で評価をすることになります。

また、例えば相続があった日以降に会社の業績が好調であるようなときは、上場株を売却した日の終値の方が高値になっていることも考えられます。
このようなときでも、相続があった日の終値で評価をすることになります。

このように、不利になるケースもあれば有利になるケースもあります。
上場株を売却するかどうかの判断は、上場株を相続した相続人の判断となりますので、ご質問のような損をしたような気分になる場合だけではないこともご理解いただければと思います。

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