【ご質問】
昨年に父が亡くなりました。
私は父から相続時精算課税制度を利用して土地の贈与を受けています。
このとき、贈与税はかかりませんでしたが、不動産取得税がかかりました。
これから遺産分割の協議を行うことにあるのですが、相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた土地は遺産分割に含めないといけないのでしょうか?
【税理士長嶋の回答】
相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた土地は、原則として遺産分割に含めることになります。
ただし、遺産分割は相続人の話し合いで決めることが原則ですので、話し合いで含めないということになれば含めないことになります。
【相続時精算課税制度を利用しても生前贈与であることには変わりはない】
相続時精算課税制度は、生前贈与がされた財産について、相続税を計算するときには相続財産に含めましょうという制度です。
遺産分割は、お父様の相続開始時あるいは遺産分割を行う時点におけるお父様の財産について、誰がどの財産を相続するのかを相続人間で話し合いにより決めます。
生前贈与がされることで、お父様が所有されていた土地がご相談者様の所有に変わります。
つまり、生前贈与によりこの土地はお父様の財産ではなくなりました。
そのため、お父様の財産ではないので、遺産分割の話し合いに含める必要はないと考えてしまうかもしれません。
ところが、土地を生前贈与された場合には、この土地は生前に遺産分割が行われたものとして、遺産相続を計算する基準となる相続財産には含まれることになってしままうのです。
【土地の生前贈与は遺産相続をする財産に含まれる】
遺産分割は、相続人の話し合いにより決めるのが大原則です。
相続人の話し合いでも決まらない場合に、はじめて法定相続分という考え方が出てきます。
相続人の話し合いにより遺産分割が決まるようでしたら、生前贈与された土地を遺産相続に含めないという合意もされます。
この場合は、遺産相続する財産に含めないことになります。
もし相続人の話し合いで遺産分割がまとまらない場合、遺留分という問題が出てきますが、遺留分を計算するときの財産には生前贈与された土地は相続財産に含まれることになります。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・相続税対策に活用する生前贈与
・相続放棄をしても相続税の申告は必要ですか?(2016.06.28)
・相続時精算課税制度を利用すれば一切税金はかからないのですか?(2012.11.20)
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