【ご相談】
相続税の節税と生前贈与について質問させてください。
父が数年前から体調を崩し入退院を繰り返しており、最近は体調が安定してきました。
父は体調が安定しているうちに家族に生前贈与をしておきたいと希望しています。
ここ数年の治療のためのお金がかかっているため、相続税でさらに財産が減ってしまうのは嫌だと考えているようです。
このような状況ですが、私たち家族は相続税の節税のために生前贈与をしたほうが良いのでしょうか。
【税理士長嶋の回答】
相続税がかかりそうであれば、生前贈与を検討されてはいかがでしょうか。
ただし、贈与税は相続税よりも税率が高いため生前贈与は計画的に行う必要があります。
また、相続開始前3年以内に贈与された財産は相続税の対象となってしまうため、生前贈与は一日も早く行うことが望まれます。
【相続税がかかるのかどうかを確認】
まず、相続税がかかるのかどうかを確認する必要があります。
現在の相続税の基礎控除は「5000万円+1000万円×法定相続人の数」で計算しますが、平成27年1月1日以後の相続については「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算することが平成25年度税制改正で改正されました。
相続税が改正されたことで、現在の計算方法では相続税はかからないかもしれませんが、改正後の計算方法では相続税がかかる可能性もありますので、注意が必要です。
【相続税の節税には生前贈与を計画的に】
贈与税の税率は相続税の税率よりも高く設定されています。
そのため、贈与税の税率と相続税の税率を比較して、もし相続税の税率の方が低いとなれば、生前贈与をせず相続税を素直に払ったほうが税負担が軽いということも考えられます。
生前贈与を実行するときには、税金負担の試算とどのように生前贈与を行っていくのかの計画が大事になってきます。
また、相続開始前3年以内に贈与された財産は相続税の対象となってしまい、相続税の節税効果はありません。
このような意味で、生前贈与は一日でも早く実行することが望まれます。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・相続税対策に活用する生前贈与
・生命保険料贈与を活用した相続税対策に問題はありませんか?(2013.10.25)
・相続税対策に生前贈与、贈与の証拠は残すべきですか?(2013.06.21)
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