【ご相談】
先日、父が亡くなり、相続税の申告が必要です。
父は株式投資が趣味でしたので、証券会社で多数の上場株式を所有しています。
ここで相続税の申告書の書き方について質問させてください。
父の相続発生後に父の銀行口座に上場株式の配当金が振り込まれてきました。
この配当金は父の相続財産になるかと思います。
この相続後に振り込まれてきた配当金は源泉徴収されていますが、相続税の申告書に記載する場合は、この源泉徴収後の金額を記載すればよいのでしょうか?
それとも、源泉徴収前の配当金の総額を相続財産として記載し、源泉徴収された税額を債務として記載することになるのでしょうか?
【税理士長嶋の回答】
源泉徴収後の金額を相続税の申告書に記載します。
【回答解説:未収の配当金は配当期待権として相続財産となる】
株式会社の株主には、配当を受ける権利や株主総会において議決権を行使する権利がありますが、これらの権利がある株主は、一定の日を定めてその日において株主名簿に記載・記録されている株主とされています。
この一定の日のことを基準日といいます。
この基準日の翌日には配当金相当の株価が下落しますが、この権利確定後の株価を配当落ちといいます。
この配当落ちした株に対する配当金はまだ受け取っていませんので、未収の配当金。
つまり「配当期待権」として、相続税が課税されます。
【回答解説:配当期待権の相続税の評価】
配当期待権の相続税の評価については、財産評価基本通達第193において次のように定められています。
「配当期待権の価額は、課税時期後に受けると見込まれる予想配当の金額から当該金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額(特別徴収されるべき道府県民税の額に相当する金額を含む。以下同じ。)を控除した金額によって評価する。」
源泉徴収後の金額で評価することになっていますので、相続税の申告書に記載する場合には、源泉徴収後の金額を記載することになります。