【ご質問】
先日、母が亡くなりました。
相続人は三人で、父・長男である私と弟です。
弟は障害者手帳を持っているため、相続税で障害者のための何か優遇制度がないか調べたところ「障害者控除」という制度があることを知りました。
相続税の障害者控除は、障害を持つ相続人の相続税税額から控除しきれないときは、扶養義務者の相続人の相続税額から差し引くことができることも知りました。
私は仕事の関係で実家を離れて生活をしております。
弟は、実家で父と同居しております。
私は弟を扶養していませんが、このような場合でも私は相続税の障害者控除を受けることができるのでしょうか?
【税理士長嶋の回答】
弟さんの相続税額から控除しきれない障害者控除は、お兄さんの相続税額から差し引くことができます。
【相続税の障害者控除における扶養義務者とは?】
相続税の障害者控除での「扶養義務者」とは、誰のことをいうのでしょうか。
相続税法基本通達において、次のように記されています。
(相続税法基本通達1の2-1)
「扶養義務者」とは、配偶者並びに直系血族及び兄弟姉妹並びに家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族をいうのであるが、これらの者のほか三親等内の親族で生計を一にする者については、家庭裁判所の審判がない場合であってもこれに該当するものとして取り扱うものとする。
なお、上記扶養義務者に該当するかどうかの判定は、相続税にあっては相続開始の時、贈与税にあっては贈与の時の状況によることに留意する。
つまり、親族であることが条件であり、実際に生活費の援助(扶養)をしているということは条件にはなっていません。
・相続税でいう「扶養」
・所得税でいう「扶養」
・社会保険でいう「扶養」
は、それぞれ同じ言葉を使いますが、その意味はそれぞれ異なるため、考え方も異なります。
このようなことから、弟さんの相続税について控除しきれない障害者控除があれば、お兄さんの相続税額から差し引くことができます。