【ご質問】
父の相続税について教えてください。
父は賃貸マンションを経営しており、相続税がかかるのは間違いありません。
賃貸マンションは借金をして建設しているため、借金の返済やマンションの修繕などで現金はほとんどありません。
このような状況ですので、父に相続があった場合相続税を払えません。
「相続税を払うために土地を売却した」という話を親戚からも聞いています。
我が家の相続でも、相続税を払うために土地の売却をすることになると思います。
相続税を払うために土地を売却したときでも所得税はかかるのでしょうか?
土地を相続したときに相続税がかかり、さらに売却したときに所得税がかかるのであれば、手許に現金はほとんど残らなくなるのではないか?と素朴に疑問を感じています。
【税理士長嶋の回答】
相続をした財産を売却したとき、売却益があるのであれば所得税はかかります。
ただ、売却した相続財産に相続税が課税されているときは、課税された相続税を経費として認めてもらえますので、所得税が少なくなるように配慮がされています。
【土地を売却すれば所得税がかかる】
売却した土地が相続したものかどうかは関係なく、売却益があれば所得税がかかります。
相続した土地の取得価額がわからない場合は、売却代金の5%を取得価額として売却益を計算しなければなりません。
大雑把に計算すると、所得税は売却代金の20%程度かかると考えて差し支えありません。
このとき、相続した土地を売却したのが相続があった日から3年10ヶ月以内であれば、売却した財産について課税された相続税を取得価額に加えることができます。
つまり、土地の売却益が少なくなるため、課税される所得税が少なくなる効果があります。
国税庁のホームページに、この特例を受けるための条件などが紹介されています。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(国税庁)
【相続税を払うための土地売却は足元を見られる】
相続税を払うために相続した土地を売却することはよくあるお話です。
相続した土地を売却するときは、足元を見られるために適正な取引価格で売却できないことがほとんどです。
そのため、一つの土地を売却しても相続税を払うことができない可能性がでてきます。
そのときは、別の土地も売ってしまうことにもなりかねません。
もし、このようなことになれば土地がどんどん少なくなっていくことになります。
また、相続した土地に相続税が課税され、売却したことでさらに所得税が課税されれば、手許に残る財産が少なくなるのは当然のことです。
このようなことを避けるために、相続税を払うための現金を事前に準備しておくことは非常に重要だと思います。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・相続税を払うために土地を売却すると扶養から外れますか?(2012.08.06)