【ご質問】
相続税の申告について質問させてください。
今年になり父がなくなりました。
相続税には配偶者の税額軽減という制度があり、配偶者が相続した財産が1億6000万円までであれば相続税はかからないということを知りました。
母が父の財産の大部分を相続すれば、相続税がかからなくなります。
配偶者の税額軽減を利用して相続税がゼロになるのであれば、わざわざ税理士さんに相続税の申告手続きをお願いしなくても良いのではないか?と思っています。
このような場合でも税理士さんに相続税の申告手続きをお願いしたほうが良いのでしょうか?
【税理士長嶋の回答】
税理士報酬を節約されたいことを優先されるのであれば、あえて税理士に依頼する必要はないかと思います。
ただ、相続税の基礎控除が引き下げられることが予定されており、相続税は増税の方向性で進んでいきます。
お父様の相続税だけではなく、お母様の相続までも含めた相続税を気にされるのであれば税理士に相談したほうが良いのかもしれません。
何を優先されるのか、一度ご家族で検討されてはいかがでしょうか。
【費用を節約することを優先するのであれば税理士に依頼する必要はない】
配偶者の税額軽減を利用すれば、確かに相続税はかからなくなります。
配偶者の税額軽減を利用するには、相続税の申告期限までに遺産分割が終了していることが条件となります。
・遺産分割協議書の作成
・相続税の申告書の作成
をご自身ですることができれば税理士に依頼する必要はありませんので、費用はかかりません。
費用を節約することを優先されるのであれば、ご自身で申告手続きをされることをお勧めします。
【相続税を最大限に少なくすることを優先するのであれば税理士に相談】
配偶者の税額軽減を利用すれば、お父様の相続税はかからなくなるかもしれません。
しかしながら、配偶者の税額軽減を利用することが必ずしも有利になるとは限りません。
お父様・お母様の相続の両方について課税される相続税を最大限少なくするには、次のことを検討する必要があるでしょう。
(1)お父様の相続で相続税を払ったほうが有利である可能性はないのか?
(2)配偶者の税額軽減を利用して、お母様のときの相続で相続税を払う方が有利なのか?
(3)相続税の基礎控除の引き下げが予定されているため、これも踏まえて相続税を考えたほうが良いのではないか?
お母様の相続税がどれくらいかかるのかは、お父様の相続のときの遺産分割で試算をしなければ手遅れになります。
お父様の相続のときに税理士に依頼することで、税理士報酬がかかるのは間違いありません。
税理士報酬を払ってでも、それ以上の相続税が節税できれば必要経費であると割り切れるのではないでしょうか。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・配偶者が全財産を相続した場合でも相続税の申告は必要ですか?(2016.05.04)
・小規模宅地の特例で相続税はゼロですが申告は必要ですか?(2013.05.28)
・遺産相続を工夫することで相続税がかからないこともある(2012.08.29)
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