【ご質問】
昨年末に母が亡くなりました。
相続人は兄と妹である私の2人です。
私たちの家族の場合、相続税の基礎控除は7000万円だと思います。
母の財産をまとめてみたところ、約8000万円となりました。
自宅の評価について、小規模宅地の評価減を使えるようですので、この特例を使った後の財産は約6000万円となります。
このような場合でも、相続税の申告は必要なのでしょうか。
【税理士長嶋の回答】
相続税の申告が必要となります。
小規模宅地の評価減を受けるためには、次の2つの条件を満たしていることが必要ですのでご注意ください。
(1)申告期限までに相続税の申告書を提出すること
(2)申告期限までに遺産分割協議が終了していること
【小規模宅地の評価減は申告をすることで受けられる特典】
小規模宅地の評価減は、相続税の申告期限までに申告書を提出することではじめて受けられる特典です。
そのため、相続税の申告をしなければ小規模宅地の評価減を受けられません。
お母様の財産は8000万円程度あり、相続税の基礎控除7000万円を超えていることから、相続税がかかることになります。
【小規模宅地の評価減は遺産分割協議が終了していることが条件】
小規模宅地の評価減を受けるには、相続税の申告期限までに遺産分割協議が終了していることが条件となっています。
もし、申告期限までに遺産分割協議が終了しないときは「未分割」の内容で相続税の申告書を提出することになり、小規模宅地の評価減を受けることはできません。
【相続税の申告書を提出することではじめて特典を受けられる】
相続税を計算する場合、相続税の申告書を提出することで受けられる特典があります。
代表的なものとして、
・小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
・配偶者に対する相続税額の軽減
の2つがあります。
・元々相続税がかからない
・相続税の特典を受けることで相続税がかからなくなる
というのは大きく異なりますので、誤解のないよう区別する必要があります。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・配偶者が全財産を相続した場合でも相続税の申告は必要ですか?(2016.05.04)