【ご質問】
相続時精算課税制度について教えてください。
父が高齢ということもあり、そろそろ相続のことを考え始めました。
我が家の主だった財産は、自宅の土地と建物です。
もし父がなくなったときの相続人は、母と子供2人の計3人です。
この自宅の土地を子供である私に贈与をすることを検討しています。
贈与をするにあたって、贈与税の心配をしていたのですが、生前贈与について調べていたところ相続時精算課税制度というものがあり、これを利用することを検討しています。
もし、父が亡くなった場合、相続時精算課税制度を利用する自宅の土地は相続税の対象になってしまうのでしょうか?
【税理士長嶋の回答】
相続時精算課税制度を利用した財産は、相続税の対象になります。
ただし、ご相談者様の相続財産が相続税の基礎控除である8000万円以下であるときは、相続税はかかりません。
【相続時精算課税制度は税金の支払いの先送り】
相続時精算課税制度は、2500万円までの財産の贈与について、贈与税をかけないとする制度です。
この相続時精算課税制度を利用した財産は、相続があったときに、相続財産に加えて相続税を計算するようになっています。
贈与をした「今」は贈与税を払うことはないが、「将来」の相続があったときに相続税を払ってくださいという制度です。
このようなことから、お父様の相続のときには、相続時精算課税制度を利用して贈与される土地は相続税の対象になってしまいます。
また、単に税金を払うタイミングを遅らせるだけの制度ですので、基本的には贈与税や相続税が節税できるものではありません。
詳しくは、国税庁のホームページにて解説されています。
相続時精算課税の選択
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103.htm
【相続税の基礎控除以下であるときは、そもそも相続税はかからない】
相続税には基礎控除があり、この基礎控除の範囲内の財産であるときは、相続税は課税されません。
相続税の基礎控除は、次の算式により計算します。
「5000万円+1000万円×法定相続人の数」
ご相談者様のケースでは、5000万円+1000万円×3人=8000万円までは相続税がかかりません。
ご自宅の土地・建物だけではなく、預貯金なども相続財産に含めて、相続税を計算します。
まずは、相続財産の総額が8000万円以下なのかどうか、確認されることをお勧めします。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・相続税対策に活用する生前贈与
・相続放棄をしても相続税の申告は必要ですか?(2016.06.28)
・相続時精算課税制度を利用した財産は遺産分割に含めますか?(2013.02.01)
・孫への生前贈与、贈与税の減税を平成25年度税制改正で検討へ(2013.01.14)