【ご質問】
先日、父が亡くなりました。
相続人は、母と子供である私と妹の3人です。
相続があると預金が凍結され現金が引き出せなくなるということを聞き、父の生前に父名義の定期預金を解約し母名義の預金口座に入金しました。
また、父の死後、父名義の普通預金から父の葬儀費用の支払いのために現金を引き出して、葬儀社に支払いを済ませました。
ここで相続税について質問させてください、
(1)父名義だった定期預金は母名義の預金にそのまま残っていますが、相続税の対象になるのでしょうか。
(2)父名義の普通預金から引き出した現金ですが、相続税の対象になるのでしょうか
【税理士長嶋の回答】
(1)お父様名義だった定期預金も相続税の対象になります。
(2)葬儀費用の支払いのために引き出した現金も相続税の対象になります。
ただし、葬儀費用は相続税を計算するときに債務として控除することができるので、結果的に相続税はかからないことになります。
【相続税を考えるときには名義が誰になっているかは関係ない】
相続税を考えるときの大原則ですが、名義が誰になっているかはまったく関係ないということです。
お父様名義だった定期預金は、お父様の収入により貯金されたものだと思います。
それが、たまたまお母様名義になっていたからといって相続税がかからないとすれば、誰もが名義だけ配偶者や子供に変更してしまうでしょう。
このように名義だけを家族にしているような預金を「名義預金」といいます。
財産の名義によって相続税がかかるかどうかの判断をすると不公平になる可能性があります。
そのため、相続税がかかる財産は誰の収入で貯金されたのか(実質的に誰がつくった財産なのか)により判断していくことになります。
ご質問のケースでは、お母様名義になっているとはいえ、お父様がつくられた財産ですので、お父様の財産として相続税が課税されてしまいます。
【相続税は相続日の財産に対して課税される】
相続税は、相続があった日現在の財産に対して課税されます。
お父様の死亡後に引き出された葬儀費用を支払うための現金は、相続があった日現在では預金として存在していることになります。
そのため、葬儀費用の支払いのために充てた現金も、相続税の対象になってしまいます。
ただし、葬儀費用は相続税を計算するときには債務控除することができます。
つまり、一旦現金は財産にプラスされますが、葬儀費用は財産からマイナスされますので、結果的にこの現金には相続税はかからないことになります。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・子供名義の預金に相続税は課税されますか?(2012.06.02)