【ご質問】
相続税の節税対策について教えてください。
相続税の節税にとアパート経営をすることを不動産業者から勧められています。
今のような不景気の時代では、大きな借金を背負うことがとても不安です。
相続税の節税対策は、生前からしておいたほうが良いのでしょうか。
不動産業者のいいなりにはなりたくありません。
【税理士長嶋の回答】
相続税の節税対策は、一般的には生前から行ったほうが効果があると思います。
信頼できる専門家にご相談されることをお勧めします。
【相続財産の評価方法について違いを知る】
相続財産は、相続があった日の時価で評価することが原則となっています。
例えば、預貯金や上場株式の場合。
(1)預貯金
通帳に記帳されている金額がそのまま相続税評価額になります。
(2)上場株式
新聞に掲載されている終値がそのまま相続税評価額になります。
ところが、土地や建物のような不動産の相続税評価額は、時価よりも低い金額で評価をする仕組みになっています。
(3)土地
路線価により相続税評価額を計算することになっていますが、この路線価は公示価格(時価)の80%程度に設定されています。
(4)家屋
固定資産税評価額により相続税評価額を計算することになっていますが、この固定資産税評価額は建築価額(時価)の60%程度に設定されています。
また、これらの不動産が賃貸物件であるときは、さらに相続税評価額が下がります。
このように、預貯金や上場株式などの金融資産で財産を持っているよりは、預貯金を減らして相続税評価額がより低くなる不動産を購入することが相続税の節税対策の定番です。
【相続税の節税対策のマイナス面もよく理解する】
不動産業者や銀行からアパート経営の話が出るときは、必ずと言ってよいほど借金(ローン)をすることが前提となっています。
借金には、当然のことながら利息が発生します。
20年など長期間にわたって借金の返済をすることになりますので、入居率や経済状況を踏まえよく検討する必要があると思います。
また、次のような笑い話もあります。
銀行に支払う利息の総額のほうが節税できる相続税よりも多いことがあります。
それであれば、素直に相続税を払ったほうが手許に多く現金が残ります。
不動産業者や銀行は、自分の仕事になる話しかしません。
ご自身にとってマイナスになる点をよく理解することが大切です。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・相続税対策に活用する生前贈与
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