相続税がかからないといっても、相続税がかからない理由によって申告が必要かどうかの判断が異なってきます。
相続税がかからないとは、次の2つのケースが考えられます。
(1)相続財産が相続税の基礎控除以下であるため、そもそも相続税がかからない
(2)相続税を計算するときに認められている優遇制度を利用することで、相続税がかからなくなる
(1)の場合には、相続税の申告義務がありませんので、相続税の申告をする必要はありません。
ところが(2)の場合には、相続税の申告をしなければなりませんのでご注意ください。
【相続財産が相続税の基礎控除以下のとき】
簡単に、相続税がかかるのは、相続財産が相続税の基礎控除(非課税枠)の金額を超えるときです。
相続税の基礎控除は、次の算式により計算します。
「5000万円+1000万円×法定相続人の数」
例えば、法定相続人が妻・子供2人の場合、基礎控除は8000万円となります。
相続財産が8000万円を超えなければ、そもそも相続税がかかりません。
【相続税で認められている優遇制度を利用するとき】
相続税には、相続人の生活保障などを考慮して、いろいろな優遇制度があります。
例えば、
・配偶者の税額軽減
・小規模宅地の評価減
などです。
簡単に、配偶者の税額軽減は、配偶者が相続した財産には相続税をかけない。
また、小規模宅地の評価減は、被相続人と同居していた親族がいる場合、住んでいた土地の評価額を80%引にしましょうという制度です。
これらの優遇制度を利用することで、相続税がかからなくなるご家庭がたくさんあります。
これらの優遇制度を利用するには、相続税の申告書に、
・これらの優遇制度を利用する旨を記載する
・これらの優遇制度の計算の根拠や明細を記載する
・これらの優遇制度を利用することができる相続人であることを証明する書類を添付する
ことなどが求められています。
つまり、相続税の申告をすることで初めて相続税がかからなくなります。
このようなことから、優遇制度を利用して相続税がかからなくなる場合には、相続税の申告が必要となります。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・配偶者が全財産を相続した場合でも相続税の申告は必要ですか?(2016.05.04)
・小規模宅地の特例で相続税はゼロですが申告は必要ですか?(2013.05.28)
・相続税の申告をしなかったらどうなりますか?(2013.05.11)
・相続税申告、相続税がゼロでも税理士にお願いするべきですか?(2012.10.24)
・遺産相続を工夫することで相続税がかからないこともある(2012.08.29)